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Clinical Overview

イークライナー(eCligner)の透明な歯列矯正装置。(写真:Dr. TaeWeon Kim、韓国)
Dec 19, 2016 | Overview Japan

イークライナー(eCligner)-審美的歯列矯正装置

by Dental Tribune Japan

この20年の間、従来の金属製ブレースよりも審美的で快適な治療法を望む患者の治療に向けて、透明な可撤式歯列矯正装置が開発されてきた。透明な歯列矯正装置の有効性は、多くの学術論文で発表されている。このような歯列矯正装置の主要な利点の1つは、食事や歯磨きなどのために患者が自分で取り外せることである。

イークライナー(eCligner)はバキュームフォーマーによって作製される透明なプラスチック製可撤式歯列矯正装置である。PET製の牛乳ボトルや伸縮素材に類似した、毒性がなく生物学的に許容可能なPET-G材料から作られる。2~3 mmの叢生症例では、イークライナーのクリアアライナーによる歯列矯正治療は4~5ヵ月という短さで可能である(図1~3)。

クリアアライナーとイークライナーシステムの開発

1998年の晩秋、私がバスルームでせっけんの泡を観察しているとき、透明な可撤式歯列矯正装置を使って歯を移動させるというアイデアがひらめいた。これらの歯列矯正装置を使って、私は単純な後戻り症例の治療に成功し始め、それをクリアアライナーと名付けた。歯列矯正装置を扱う複数の会社が「クリアアライナー」という用語を使っているが、もともとは私が、このテクノロジーを世界中に売り込むために作り出した名称であった。

ラボでクリアアライナーを作製するには、モデルセットアップでの正確な歯牙移動のコントロールが必要とされる。CAPRO(IV-Tech、韓国)ソフトウェアを使って、2枚のデジタル写真を重ね合わせ、それぞれの歯の移動範囲をチェックした。熱生成バキュームフォーマーおよび0.5 mm、0.62 mm、0.75 mmのラミネートホイルを用いて、移動または治療の「ステップ」ごとに、3種類の厚みのアライナー(ソフト、ミディアム、ハード)が作製された。ソフトから始めて、次にミディアム、続いてハードの順に、それぞれのアライナーが1週間装着されてから次のステップに移る(図4、5)。

ハンドメイドのアライナーと同様に効果的ではあるが、アライナーの臨床上の適用には限界がある。CAPROソフトウェアのようなテクノロジーを使っても、アライナーの品質は技術者の専門的技術にかかっている。臨床上の限界として挙げられることとしては、強い矯正力によって歯髄壊死が生じることがあることや、歯の移動効率の悪さや移動方向の誤りなどが挙げられる。これらの課題を克服するために、3-D CAD/CAMシステムを利用した新たなイークライナーソフトウェアを開発する必要があった。このシステムは、ハンドメイドのクリアアライナーと同じ基本原理を取り入れているが、利点として、より良い歯の移動コントロールが可能であること、デジタルの診断・治療計画が可能なこと、治療期間の予想に一貫性があることなどが挙げられる。さらに、患者とのコミュニケーションを向上させ、アライナーの紛失や破損または後戻り時の対応の際にも有効である。この先進的なソフトウェアが2009年に開発されたことにより、イークライナーシステムは著しい臨床上の発展を成し遂げた(図6~11)。

イークライナーの仕組み

イークライナーシステムでは、3-Dプリント樹脂モデルからアライナーを作製する。3-Dプリント樹脂モデルは、イークライナー治療計画ソフトウェアを使って製作される。モデルはステップ毎にあり、厚みが違う3種類のアライナー(ソフト、ミディアム、ハード)を作製するために使われる。各ステップは3週間で構成され、患者は1週間ずつ3種類のアライナーをソフトから順に使用する。イークライナーアライナーの装着時間は1日17時間で、食事と熱い飲み物を飲むときは取り外す。治療計画はプロセス全体の指針であり、予想される治療期間、期待される結果、側貌の変化、必要なIPR(ストリッピング)の量および場所を含んでいる。治療計画は、ボーダーライン症例の抜歯または非抜歯の治療オプションの評価も含んでいる。イークライナーアライナーは、快適にフィットし、厚みを増していくことによって、ゆるやかな歯牙移動を促進する。したがって、痛みや歯根周囲組織の障害を回避することができる(図12~18)。

成人患者

成人患者の場合、食事と熱い飲み物を飲むとき以外、アライナーを毎日17時間装着する必要がある。患者は毎晩アライナーを装着し、毎日歯ブラシでアライナーを清掃しなければならない。イークライナーアライナーはインプラント埋入前のスペース調整や歯牙の挺出の際にも使用可能である。プログラムの中にある3-Dシミュレーションは患者へのプレゼンテーションに有効である(図19)。

小児患者

14歳以下の小児に対しては、抑制矯正治療を目的としてイークライナーアライナーが使用可能である。イークライナーシステムは、保隙、スペース作り出す際、萌出誘導、成長コントロールに使用できる。小児はイークライナーアライナーを1日8~10時間、夜間のみ装着する。そのため、イークライナーシステムは日中の日常生活に支障を及ぼすことはない。また最大限の効果を得るために、真夜中にピークとなる成長ホルモン分泌をうまく利用することができる(図20、21)

イークライナーの適用

イークライナーシステムは、大きな距離でない歯の移動、叢生および空隙歯列、補綴前準備などの矯正治療に有効である。さらに、矯正治療後の保定にも使用可能である。

イークライナーの適用例
1.軽微な叢生(図22~29)
2.空隙歯列(図30、31)
3.圧下(図32、33)
4.最終仕上げと咬合のシーティングのための挺出(図34、35)
5.小児症例(図36、37)
6.拡大症例(図38、39)
7.後戻りの治療(図40、41)
8.補綴の必要性のため(図42、43)
9.審美的な笑顔のため(図44~46)
10.ホワイトニングとの組み合わせ(図47)

開始方法

1.医療提供者としてウェブサイト経由で登録する
2.患者の情報と写真をアップロードする
3.PVS印象または口腔内スキャンを提出する
4.治療計画を受け取りレビューする
5.3-Dシミュレーションを使って患者と話し合う
6.治療開始の承諾を得る
7.イークライナーアライナーと樹脂モデルを受け取る
(図48~50)

患者管理

患者の来院時に使用中のアライナーのフィットを確認する。完全にフィットしていない場合、使用中のアライナーの装着時間を増やす必要がある(図51、52)。

アライナーの紛失や破損、後戻りの解決法

イークライナーシステムでは、すべてのアライナーと樹脂モデルを受け取ることができる。患者がアライナーを紛失または破損した場合、再製のためには樹脂モデルを使用するだけである。患者がアライナーの装着を中止した場合は、現状の歯列にマッチする樹脂モデルを見つけ、アライナーを再製して治療を再開する。治療後の後戻りの場合は、患者の現状の歯列にマッチする樹脂モデルを見つけ、そのステップから最終ステップまでのすべてのアライナーを作製する。治療を始める前に樹脂モデルを全て患者に見せて、プロセス全体を説明することを勧める(図53、54)。

保定

矯正治療後の最初の1年間は、患者はリテーナーを毎晩装着しなければならない。最初の1年が過ぎると、後戻り防止のための夜間の装着は週3回で十分である。その後は、患者はリテーナーを少なくとも週1回、夜間に装着しなければならない。リテーナーは患者の年1回の来院時に新しいものと交換する必要がある(図55)。

編集者注:参考文献の全リストは発行人から入手可能である。本記事はortho_ international magazine of orthodontics No. 01/2016に掲載された。

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